一級建築士事務所 株式会社
アット・ピース・アーキテクツ
Nishikama
Salon
2014年1月竣工
クライアントからのオーダーは、光・風・緑をどの部屋からも感じられる家との事だった。まず建物を敷地に対して15度傾けるプランを考えました。そうすることで、建物と敷地と間に空地が生まれ、至る所から光が入り、風通しも良くなります。さらに空地を緑化することで、様々な角度から緑を見ることが出来ます。2階のリビング南面は、三角形に飛び出させて、広町緑地の稜線をパノラマで眺められるようにした。
Impression of the client
私達夫婦は家を建てるなら普通の家ではなくて少し変わった家がいいと思っていました。変わったといっても奇妙なのではなくて、おしゃれなカフェやリゾートホテルに行った時に感じる「非日常感」を感じる家です。自宅の一部をサロンにしてカラーの仕事をするのが私の夢だったことも「非日常感」というキーワードがとても重要なものになりました。
理想は新婚旅行で泊まったマレーシアのリゾートホテル。この思いを何社ものハウスメーカーに伝えましたが、なかなか家に求める「非日常感」がうまく伝わることはありませんでした。建築士探しと並行して続けていた土地探し。鎌倉に土地を探して歩き回り、くたびれて入ったカフェがジョワドビブル。後に我々の家を共に建てた建築家の奥様がなさっているカフェでした。帰り際に本当にそっと申し訳なさそうに「うちの主人、建築やってるんです。。」とおっしゃったのが昨日のように思い出されます。その居心地の良い温かくも洗練されたカフェにすっかり魅了された我々は驚きと共に、すぐにご主人と会う約束をしました。これがアット・ピース・アーキテクツ 建築家島田 浩由さんとの出会いです。
それから程なくして見つかった土地は島田さんの奥様が教えてくださった駅までの近道の先に見つかりました。家づくりは本当に不思議な縁の連続だと今もなお感じます。その土地を購入するかどうするか迷っている時に身軽にも土地を見にきてくれた島田さん。
「窓からの景色に山の稜線を取り込めるね」我が家の2階リビングには四季折々の山の稜線と広い空が見渡せる窓ができました。窓からの景色はもちろん、光や風がどのように入るのか、明るさだけでなく美しい陰影が家の空間に思いもよらない空間を出現させることを島田さんの設計で感じました。
また、彼は私達が生活の中で何を大切に過ごしているのかをよく聞いてくれ、また自身の事も語ってくださいました。そのようなコミュニケーションを経た結果、俗にいう家づくりにまつわる予算や工期等の枠組みを超え、我々夫婦がこれから人生を過ごしていくまさに私達らしい家、私達らしい空間が出来上がったと感じています。新築の時が一番なのではなく、住むほどに味わいを増す住まい。キャッチフレーズのようですけれど、我々は住んで4年が経とうとする中で、心よりその味わいの深まりを日々感じています。
自然素材を大切にしたこの家に住むようになって五感で感じることを意識的にも無意識的にも大切にするようになりました。食事やお茶の味、肌に触れる布の感覚、鳥の声や風の音、目に飛び込む色彩等々・・・。昔の生活からは想像できない感覚の変化が沢山訪れています。くたびれて外から帰ってきた時、家のドアを開けると「非日常」を感じる玄関が迎えてくれます。なんともいえない光の陰影に包まれます。想像したより大きな窓、想像したより広くとった幅・・・私達の想像を超える島田さんの提案のおかげで想像していたよりずっとずっと良い家が建ちました。
住宅街の並びの中で我が家だけが真南を向いて少し斜めに建っています。最初は周囲から浮いてしまうのはないかと心配しましたが、その結果、限られた土地の庭に空間ができ、窓からの景色が奥行きのあるものに変わりました。しかも、心配したご近所からは家同士の空間ができたおかげで光と風が通るようになったと感謝されました。近所の皆様とも仲良く暮らさせていただいています。
島田さんのクリエイティビティに心より感謝しています。