現代美術作家の杉本博司が、20年の歳月をかけて創った小田原の江之浦測候所に行って来ました。いやあ本当に凄い施設です。現代の日本で、こんなとんでもないスケールのモノを一個人が作り上げ事が出来るなんて信じられません。そして施設内で目にする全てのディティールに全く妥協がないんです。杉本は言っています。「この施設は我が国の建築様式、及び工法の、各時代の特徴を取り入れてそれを再現し、日本建築史を通観するものとして機能する。よって現在では継承が困難になりつつある伝統工法をここに再現し、将来に伝える使命を、この建築群は有する」素晴らしいです。これは建築にたずさわる我々にもかかわる重要な事だと思います。
まずは、室町時代につくられた鎌倉明月院の明月門でお迎えです。

良い感じに角がとれた京都の市電で使われていた軌道敷石のアプローチを歩いていくと、

4面ガラス貼りの待合棟

そこには樹齢1000年の屋久杉の一枚板テーブルがあります。

待合棟のむかいには、夏至の太陽が昇る方向に建てられた100メートルギャラリーが佇んでいます。

片側柱無しのガラスの壁が連続します。

建築が風景になっています。


これは冬至の方向に造られた隧道です。


蜜柑畑の小屋で使われていたトタン屋根を再利用した茶室。

清水寺の舞台と同じ檜の懸造で造った土台に光学硝子を乗せた舞台。

施設内で無数に使われた石が本当に素晴らしいです。



長年、小田原に住んでいましたが、こんな素晴らしい所があったなんて全く知りませんでした。近いうちに見学に行ってみます!